GRAN TURISMO HDで垣間見たゲーム広告の未来

GRAN TURISMO HD、みなさんはプレイしましたか?

GTHDには

「こりゃ内装まで含めてちゃんとビジュアライズしたら確実にゲーム広告として成り立つな」

という予感をひしひしと感じました。

ゲーム広告といっても2種類あります。仮想世界の中でビルボードに広告が表示されるような「ゲーム内広告」と、商品自体がゲームの主役になる通称「アドバゲーム(advergame)」です。前者の代表例はsecond lifeというまさにSNSのゲーム版というべき仮想社会シミュレータで、既に多くの企業が参入していることがよく知られています。

そしてGTHDの場合はまさに後者で、ゲームの鑑賞/プレイ体験が直接購入動機あるいは広告主にとってのマーケティング分析に結び付くようなタイプのゲームのことを指します。

広告ゲームが従来の市販ゲームと決定的に違うのはその収益モデルにあります。広告ゲームの収益の源泉はまさに広告であり、その多くが無料で遊ぶことができます。もっとも日本という、数多くの良質なゲームがタダみたいな値段で中古屋で叩き売られている国ではこの”無料”というキーワードにあまり重みを感じられないかもしれません。しかし、グローバルな視点で見るとこれはゲーム業界そのものの構造転換を迫られるような一大事件だったりするのです。

といっても人は安きに流れますから、国内でも一般的なゲームプレイヤーが広告ゲームに流れていくのは時間の問題とも言えます。そんな中で、GTHDは今存在する国内のゲームの中で、最も広告ゲームとしての可能性を感じるのです。

言わずもがな、GTHDが目指している写実的(Photo-realisitic)かつ物理的に正確な(Physically-Correct)シミュレーションは、まさに広告主であるメーカー側が期待する、車を買わせたいという購買ニーズに直結します。そして広告ゲームに要求される製品クオリティに、いよいよGTHDは迫りつつあるのではないでしょうか?

ポリフォニーという会社がどんなエンジニア像を求めているのかは知りませんが、きっとゲームそのものを1つの広告メディアとしてきちっと捉えられるような、そんな視野の広いエンジニアではないかと思います。

何はともあれ今の若者にはこういう選択肢があること自体が羨ましいですね。私が学生だった頃はこういうことをやりたくても、ハードの性能が全然追いついてなかったものですから。